未だにワクチンが開発されていない感染症は、液性免疫だけでは抑制できない病原体や培養が不可能な病原体が原因となる感染症、モデル動物が存在しない等で有効性の評価が難しい感染症がほとんどです。ウイルスワクチンプロジェクトでは、それら開発困難な感染症をターゲットとした「日本発世界初のワクチン」の開発を目標に掲げてウイルス研究を進めています。
ヒトパルボウイルスB19は母子感染により流産を引き起こす可能性のある危険なウイルスですが、試験管での培養が困難、かつ、宿主がヒトに限定されていてモデル動物もないウイルスであることから未だにワクチンがありません。研究室ではパルボウイルスの複製機序に関する基礎研究、並びに、ヒト疫学的研究など多角的なアプローチにより新規パルボウイルスワクチンの開発を進めています。
ヒトに関わらず様々な生物を宿主とするウイルスの複製機序を明らかにすることで、そのウイルスの特性をヒトのワクチンとして応用することができます。ウイルス工学的技術を駆使して、ウイルスベクターワクチン、核酸ワクチン、レプリコンワクチン、VLPワクチン、抗原修飾をキーワードとした、人体にも自然界にも悪影響を及ぼすことのない、強力かつ安全な新規ワクチンプラットフォームの創出を目的とした研究を行っています。新規基盤技術を確立することで克服困難な病原体にも対抗できる次世代ワクチンの開発を目指します。